展示
ヴァティカン図書館秘蔵 ファクシミリ(復刻)本展
場所:図書館2階 閲覧室期間:1997年12月
ヴァティカン図書館(Bibliotheca Apostolica Vaticana)は、 ローマ教皇庁附属の世界で最も古い図書館の一つであり、 手稿本・手写本および初期刊行を中心とする蔵書の質が高く、 他の追随を許さない内容を持っています。
現在の蔵書数は、稿本類10万、手写本7万、印刷本約100万、 その内1,500年以前の古版本は8,000冊を数えますが、 さらに十数万におよぶ銅版画、地図ならびに数千点の古文書があります。
その範囲も、神学の専門領域にとどまることなく、 歴史・哲学・住民法・教会法・古典を中心とした言語学・人文主義・美術・ 建築および音楽に関する書物など、 きわめて広範な分野にわたっています。
世界的に貴重な文化的遺産の稿本や手写本などの原本を破損から防ぎ、 高度な製版・印刷技術の確立と伝統的な製本技術との協力によるファクシミリ (復刻)版の出現によって、 原典に直接触れることができずにきた分野の学術研究への道が開かれたのです。
14〜15世紀に、ドイツ、オーストリアを中心に流布した一種の「絵入り聖書」の通称ですが、 清貧を旨とした修道士が一般信徒の宗教教育の強化と敬虔な信仰の育成を目的として用いた珍しい彩色写本であるほか、 キリストの生涯が旧約聖書で予め型どられていたとする予型論的聖書として重要視される文献です。 (岩波ファミシミリ・エディションより)
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13世紀ゴシック体の文字の間に総数118点におよぶ挿絵を入れたこの新約聖書は、 小型ながらヴァティカン図書館の中でも代表的な手写本として知られ、 現教皇ヨハネ・パウロII世が珍重することから、 別名"法王の聖書"と呼ばれています。 今は失われたビザンチン絵画をうかがわせるその挿絵とともに、 12世紀後半からの略記法や慣用記法を踏襲している点でも古文書学の、 また黙示録図像の系統別研究に必須の文献として重視されます。 (岩波ファミシミリ・エディションより)
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ルネサンスに君臨したボルジア家出自の教皇アレクサンデルVI世が、 サン・ピエトロ大聖堂およびシスティーナ礼拝堂で行われていた教皇ミサの典礼を 華麗な手写本にまとめた歴史的文献です。 その文字はイタリア・ゴシック体の典型としてのちの文書体の規範とされ、 挿絵もまたルネサンス絵画をそのまま細密画に集約した作例と目されています。 (岩波ファミシミリ・エディションより)
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ベネディクト会の創始者ベネディクトゥスと、 その妹聖スコラスティカおよび弟子聖マウルスの聖句集であり、 三聖人それぞれの大祝日の前夜、 夜を徹する礼拝と、 その後8日間にわたる朗読のために用いられた「聖祝祭のための読誦集」です。 1055年、イタリア中部、 モンテカッシーノの修道院長デシデリウス(のちの教皇ヴィクトルIII世)の発意によって 作成されたベネティクト派の原典であり、 キリスト教史および教会史上の重要文献であるとともに 11世紀中世美術の解明に光を当てる重要な資料としても知られる華麗な手写本です。 (岩波ファミシミリ・エディションより)
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中世ヨーロッパがその独自の世界を築きはじめた頃、 クレゴリウス改革と叙任権闘争のさなか、 いわゆる"カノッサの屈辱"として著名な1077年の事件を、 主人公カノッサ伯夫人マティルダの伝記によって誌した同時代資料です。 記述は正当な中世ラテン語に拠ったもので、 ヨーロッパでは今なお広く教科書として用いられており、 挿絵もまた中世絵画の貴重な作例を示す稀覯書です。 西洋史研究上の第一次資料として特に重視されています。 (岩波ファミシミリ・エディションより)
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13世紀寓意・教化文学の代表作「バラ物語」のこの写本は、 1414年、北フランス、ボーヴェーで制作されたものです。 騎士道的恋愛の礼讃と、恋愛心理の紆余曲折を、 夢・擬人・寓意の手法によって描出する詩篇に添えた細密画92葉が、 他に類例のないフランス・ゴシック絵画の現存資料として、 美術史上と国重視されています。 (岩波ファミシミリ・エディションより)
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煉獄から天国へと詩人ダンテを導くベアトリーチェや、 天空を舞う天女たち、壮大な天地にいずこともなく響きわたる奏楽の音。 「神曲」を91葉の素描にしたボッティチェルリは、 ルネサンスの都フィレンチェに在りながら、神秘的世界に沈潜しつつ、 この清冽な宇宙を画像にまとめたのです。 (岩波ファミシミリ・エディションより)
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古代絵画をそのまま伝承する挿絵20葉を原寸大のファクシミリ版とし、 原典はモノクロの縮刷版につくられています。 (岩波ファミシミリ・エディションより)
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