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『ムーミンの哲学』    瀬戸 一夫 著       勁草書房: 2002


北田 明子教授 (学芸学部一般教育)

本書は哲学書の棚に並んでいた歴とした哲学書である。
著者は次のようにいう。

「(哲学は)社会生活の中でどこか凝り固まってしまった一面的な考え方に作用し、 普段は見過ごしているものごとの大切な側面を、 わたしたちの目の前に浮かび上がらせてくれる。」

そしてその具体的な題材としてムーミンのストーリーが選ばれている。 たとえば第5章では“影”の話。自分の影が自分の秘密を漏らす。 影におびえるムーミン谷の住人たち。 次の第6章は“仮面”。 仮面をつけて一夜のヒーローへと変身できたスニフは、祭 りのあとに必ず焼き捨てるという約束を破って仮面を脱がなかった。 さぁどうなった? 哲学入門の部分は解らなくてもムーミンのお話しは本当に腑に落ちる。 もちろんアニメをもう一度みたくなる。