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『源頼朝像−沈黙の肖像画』 (絵は語る4)    米倉 迪夫        平凡社:1995


白川哲郎助教授 (学芸学部日本文化史学科)

 「見知った顔の人物が、全くの別人であったとしたら」、 ミステリー小説のキャッチコピーではありませんが、 歴史の教科書でも有名な、 あの『神護寺蔵伝源頼朝像』の“謎”が解き明かされて行きます。 この本を手にしたのは、ずいぶんと話題になった後でしたから、 “答”−厳粛で凛々しく、知的で冷酷、そんな頼朝のイメージすら支えている、

 あの頼朝像が、実は別人であった−は既に知っていました。 それでも、衝撃的でした。日本史の「常識」が常識でなくなってしまう。 論理的に事実を積み重ねて行けば、「常識」だって変わる。 そんな研究を進める上では当たり前のことを、改めて思い知らされたのでした。 歴史の“魅力”、学問の“醍醐味”を味わってみて下さい。