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『1941年12月8日:アジア太平洋戦争はなぜ起ったか 』(岩波ジュニア新書)   江口 圭一 著  岩波書店:1991


吉田 守男教授 (学芸学部日本文化史学科)

「アジア大平洋戦争はなぜ起こったか」という副題をもつ本書は、 この問題を近代日本の対外政策の中にさぐり、 近代日本の対外膨張政策の到達点がアジア太平洋戦争であったと結論している。 更に対外的権益への強い執着心と民族差別とが結びついた点に、 中国侵略の精神的基盤を見いだしている。 アジア太平洋戦争は半世紀余り前の事件でありながら、 未だ解決をみていない今日的問題である。 日本近現代史研究の第一人者が著した本書は、 極めて平易な文章で上記の問題を叙述している。一読をすすめる所以である。