展示

「覚書 幕末の水戸藩」  

山川 菊栄 

岩波書店 1974   

小阪:367.2||Y27||別(176723C)

 

長谷川 伸三(日本文化史学科)

 

   著者は社会運動・婦人運動家。曾祖父

青山延于(えんう)、祖父延寿(えんじゅ)

が水戸藩の儒学者。著者は母森田千世の話

や祖父の遺した記録から、幕末水戸藩の歴史を再現している。内容は、Ⅰ「烈公の登場まで」、Ⅱ「烈公の新政」、Ⅲ「激動のなかで」、Ⅳ「武家のくらしむき」、Ⅴ「維新前後」、Ⅵ「水戸戦争の代価」と「付録」からなる。水戸藩は烈公(徳川斉昭)が推進した天保改革のころから藩内の対立が激化し、幕末には藩内抗争に精力を使い果たし、維新の変革に参加できなかった。そうした激動の歴史を内側から、女性や庶民のすがたをふくめて語ってくれる。著者ならではの歴史批判も見逃せない。