展示

「新しい科学論-『事実』は理論をたおせるか-

村上 陽一郎

講談社 1979(ブルーバックス)

小阪:401||Mu43(393183I)

大和 シゲミ(国文学科 日本語研究センター

 

 私がみなさんと同じ年の頃に読んだ本で、みなさんにもぜひ読んでもらいたいと思うのは、村上陽一郎という人の『新しい科学論』という本です。この本は、「科学とはどういうものか」についてわかりやすいことばで書かれています。ふだん私たちは、科学が人間の気持ちや社会から切り離されたもののように感じていますが、実はそうではないのです。人間が置かれている時代や社会のものの見方・考え方が、新しい理論を誕生させたり、新しいデータの発見につながったり、それまでのデータに新しい別の意味を加えたりしています。それぞれの時代・社会の人間のあり方が、それぞれの時代・社会の科学とつながっていること、つまり科学はとても人間的なものであることを、この本は教えてくれます。