展示

「連帯の新たなる哲学 : 福祉国家再考」

ピエール・ロザンヴァロン 勁草書房 2006年
 
浦田 克巳 (心理学科)

 いま、国の財政危機と、不安定就労の激増など、企業による雇用不安が強まる中で、 かつての「福祉国家」の見直しが進んでいます。 一方で、「障がい」概念の拡大も進み、かつてはちょっとした異状、 ちょっとした逸脱をハンディキャップ(障がい)として把握する傾向も顕著で、 「福祉国家」における保障としての「給付」を受ける人々の増加も懸念されています。 同時に、ノーマライゼーションや、社会参加などの普遍化もすすみ、 所得の保障と社会連帯、社会参加のあり方が問われています。 本書は、そういう現状の中で障がい者の労働への参加の権利をするどく追求しています。 社会の富の根源が労働にある以上、雇用から排除した上で、 「福祉」の給付さえあれば「人は幸せのはずだ」とは言えないと問いかけているように思います。
関屋 : 364.023||R71 (416592G)

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