展示

「アリの町のマリア北原怜子」

松居桃樓 春秋社 1998年
 
小嶋 康生(児童学科)

 毎回、開講に際して、セミスター期間中、 「一冊だけ本を読んでほしい」と受講生に求めています。 そして、参考図書として『福祉の思想・入門講座』(4)「福祉の文献」から引用した 一覧表を配付しているのです。 私の講義を受講しない方にも「読んでおいて損はしない」、 「学生時代だからこそ読める」図書ばかりです。
 その中で一冊といわれると表題の『アリの町のマリア北原怜子』 (松居桃樓著)を推薦します。
 貴女方と同じフツーの大学生だった北原怜子さんの物語です。 敗戦後のどん底の時代、アリの街といわれた貧窟街の悲惨な子供たちをみて、 一身を投げうって奉仕活動に励み、尽くし、そして、病に倒れ、 志半ばにして亡くなるのです。
 今日とは確かに時代環境は違います。 しかし、心が優しさに包まれた北原さんの生涯は福祉は人、 教育は人という原点には変わりがないことを教えてくれます。 アルトイズム(利他主義)、 拝金主義の現代人が忘れたこの精神を思い起こしてくれるのです。 北原玲子さんのような人もいたということを記憶にとどめておいてください。 初版の出版年は1963年、出版社は春秋社。
関屋:915.9||M10 (416686I)

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