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『ふしぎなえ』 安野 光雅 著 福音館書店:1971
大学生の諸姉に薦めるのに絵本とはいかがか、 といわれるかも知れないが、 この本をはじめ多くの絵本は非常に出来がよく、 気構えさえあれば大人をも十分に楽しませてくれる。
安野は、この本で絵本界にデビューし、 水彩画のやさしい雰囲気漂う作品を数多く発表している。 また、美術以外に、科学・数学・文学などに造詣が深く、 その好奇心と想像力で次々と独創的な作品を発表している。
この本は、立体の平面化によって生ずるさまざまな錯視を取り上げているのだが、 それぞれの絵に対する説明も一切なく、 読者はただただ自分の感性を試されるのである。 この本に限らず、錯視に関する書籍に出会うと、 見たものすべてを信じることの怖さと、物事を見極めることの大切さや難しさを感じる。