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『与謝野晶子評論集』(岩波文庫) 鹿野 政直・香内 信子 編 岩波書店:1985
与謝野晶子は、最初の歌集『みだれ髪』によって、 官能的に恋愛を歌いあげた情熱の歌人として知られている。 しかし、彼女は「想うという能力」を重視する思索の人でもあった。 少女時代から課業を手伝い、曲折の多かった結婚生活にも夫への愛情を失わず、 執筆活動によって家計を支えながら12人の子どもを生み育てた女性ならではの思想。 力強く実生活を生き抜いた者の確かな生活感情に根ざした言葉の数々。 彼女の問題意識は女性の生き方から学校教育のあり方・国政や社会の問題へと広がっていった。
彼女の真摯な言葉を撰集したこの一冊は混迷の現代を生きる私達にとっても、 進むべき方向を見いだす一助となり得るものである。