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『桜の園』    チェーホフ,アントン 著 


中井 歩 講師 (人間科学部応用社会学科)

 チェーホフの良いところは、彼の優れた作品ほとんどを集めたとしても、 ポケットに入るサイズに収まってしまうことです。 「言いたいことを簡潔に述べる」のは、 文章を書くことを生業とする者にとって最も大切で最も困難なことであり、 「いかに生きるか」をわずか100ページ足らずの戯曲の中で登場人物たちに語らせてしまう彼の筆力は、畏敬と羨望の対象です。

実はこの本とは 『櫻の園』(中原俊監督・原作は吉田秋生)という映画を 通して出会いました。 映画は、「桜の園」を演じるまでの女子校演劇部員たちを描いています。 映画もこの本もそれぞれ2〜3時間ほどで出会うことができますので、 忙しい人にもお奨めできます。 たとえチェーホフにハマっても、寝不足になることはないでしょう。 読者の健康面から見ても、彼は偉大な作家です。