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『子どもの本を読む』 (講談社プラスアルファ文庫) 河合 隼雄 著 講談社:1996
日本の臨床心理学をリードし続ける河合隼雄氏が、 大好きな児童文学の作品を紹介しながら、心理療法の経験から知った、 子どもの目から見たこころの真実と、 一人一人の存在に尊厳と癒しをもたらす「たましい」のはたらきについて語った本。
よくありがちな、心理学用語を用いて作品を読み解くという本とは一線を画し、 難解な用語などほとんど使われていないが、 かえって自分が実際に子どもと関わる時に思い当たることや、 そこでの自分の姿勢を深く問い直されるようなことがたくさん書かれてある。 そして、生半可な心理学の知識がいかに「たましい」のはたらきを見失い、損 なうかということも。
特に、第3章「幻想の世界、現実の世界—ロビンソン『思い出のマーニー』」と 第5章「たましいの国に住む—ヘルトリング『ヒルベルという子がいた』」が 私は好きです。