展示

「ジャガイモとインカ帝国―文明を生んだ植物

山本 紀夫

東京大学出版会 2004

小阪:616.8||Y31(393063H)

 

溝田 のぞみ(学芸学部 一般教育)

 

 私たちの食卓に頻繁に登場するジャガイモは、遠く南米アンデス山脈原産の作物であることをご存じですか?アンデスには、今から五-六百年ほど前にインカ帝国という、南北4,000km、人口1,000万以上の大国家が栄えていました。では、この大帝国の繁栄を支えた食糧は何だったのでしょう?著者は従来のトウモロコシ説に異論を唱え、それがジャガイモであったとの説を大胆に展開します。植物民族学者の著者は、35年にわたってアンデスで農耕文化の現地調査を行ってきた人物で、目で見たアンデスを説得力をもって伝えてくれます。学術書でありながら、一般読者向けに平易な文体で書かれ、写真や図表も豊富に盛り込まれた読みやすい本です。この夏、インカ帝国に知的旅行をしてみませんか?