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「忘れられた日本人」

宮本 常一

岩波書店  1984(岩波文庫)

関屋:389.1||Mi(324698B)

 

森田 真也(日本文化史学科)

この本は、旅に生きた民俗学者宮本常一によって書かれたものです。個人の語るライフヒストリーを基軸として、地域社会の人々の生活誌が生き生きと描かれています。この本には、人々がどのような環境に暮らしてきたかということが書かれています。しかしそれだけでなく、一人の人間が地域社会のなかでどのように生きてきたかという「生きる知恵」についての問いかけがあります。宮本の著作では、難解な議論ではなく、誠実に生きる人々のたくましさが具体的な人間像をもってあらわされます。

 

本書は、人と人との出逢い、営み、さらには生活世界の語りの豊かさを教えてくれる好著です。民俗学の入門書としてだけでなく、読み物としても最適なものとして推薦いたします。

 

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