展示
「大河の一滴」
五木 寛之
幻冬舎 1999(幻冬舎文庫)
関屋:B||2122(348958C)
谷垣 伊太雄(国文学科)
1932年に九州で生まれた五木さんは、教師であった両親とともに、生後まもなく朝鮮にわたり、第2次世界大戦で日本が敗れた1945年9月15日に母と死別し、1947年に日本に引き揚げてきました。
三十代には、小説現代新人賞・直木賞を受賞しますが、吉川英治文学賞を受賞した四十代後半に、一時「休筆」して、若い学生達とともに仏教史を学び、1985年に執筆を再開しました。
この本は、少年時代の記憶から出発し、現実に起こったさまざまな事についての五木さんの考えが記されているわけですが、もっともページの多いのが「ラジオ深夜一夜物語」の章であることを見てもわかるように、全てが静かに語りかける口調で書かれているので、「私はダメ人間かも」とか「友達ができにくい」などと悩んでいる人がいたら、どのページからでもいいので、読んでみてください。