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「大衆教育社会のゆくえ : 学歴主義と平等神話の戦後史」

苅谷剛彦 中央公論社 1995年
 
塩見 愼朗(児童学科)

 落ちこぼれ、校内暴力、いじめ、不登校など、 教育の荒廃と生徒の問題行動には学歴社会の重圧が大きく影響している。 学歴社会は人物評価に学歴を最優先の尺度とする社会であるが、 戦後の日本は経済成長と豊かさに支えられて、 親がまじめに働きさえすれば、 わが子に親より高い学歴と社会的地位を獲得させることができた。
 わが国は「勉強すれば偉くなる」という学校神話が機能し、 よい学歴を取得することで「生まれ変わり」が可能であり、 先進国に較べても「学歴」の効用が非常に大きい国なのである。
 本書は戦後における大衆教育社会誕生の謎を考究すると共に、 偏差値評価による能力主義と平等主義の絡み合いの中で、 教育を基軸とした新たな階層基盤が用意された日本独得な教育情況を考察しており、 現代の教育問題を考えるに際して非常に重要な示唆に富んでいる。
[目次]
第1章 大衆教育社会のどこが問題か
第2章 消えた階層問題
第3章 「階層と教育」問題の底流
第4章 大衆教育社会と学歴主義
第5章 「能力主義的差別教育」のパラドクス
終  章 大衆教育社会のゆらぎ
関屋:372.1||Ka67 (357575G)

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