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「ファウスト」(ちくま文庫 、 森?外全集) |
ゲーテ著 森鴎外訳 筑摩書房 1996年 |
檀原 みすず(国文学科) |
宇宙の根源を突きとめようとして、一度は絶望した老学者ファウストが、 悪魔メフィストフェレスと魂をかけた契約を結び、人生を体験し尽そうとする。 第一部はメフィストにより青年に若返ったファウストが 少女マルガレエテとの恋愛から彼女を不幸に陥れ牢獄で死なせてしまう。 第二部はメフィストに連れられアルプス山中で眠り続けたファウストが 今度は神聖ローマ帝国の城で財政問題を解決したり、 また美の象徴へレナと結婚するが美は消滅してしまう。 魔法の力で皇帝を助けて戦争に勝ち、 土地の干拓事業に乗り出して老夫婦を殺してしまう。 ファウストは視力を失い、仲間のために働くという最高の幸福を予感して、 ついにメフィストとの賭けに破れ死ぬが、 かつての少女の霊によって天高く昇って行く。 「永遠に女性なるもの、我等を引きて往かしむ」という終末の言葉が印象的です。 ゲーテがほぼ全生涯を賭した大作で、人生にとって本当に大切なものは何かという、 人間の生き方へのヒントがきっと得られるでしょう。 訳本『ファウスト』は柴田翔や池内紀の現代訳も出ていますが、 今なお古典的新鮮さを失わない森?外の格調高い文章で味読することをお薦めします。 | |
小阪:B||6854||1〜14 (416707E〜416720B) |
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