3ヶ月前、ひきこもりの兄がいよいよ父の保険金を食い潰してしまった。
そのときから山田なぎさは中学生ながらにして「実弾」しか信じなくなったのだった。
「実弾」とは、ふわふわして掴みどころのない夢や希望のことではなく、明日の献立や今月の家計とかの現実に即したもののことだ。
早く大人になりたい。なぎさの暮らす片田舎でめぼしい仕事といえば自衛隊だ。中学を卒業したら自衛隊に入ろう。
そう考えていた矢先、人魚を自称するいかにも「実弾」を持っていなさそうな少女・海野藻屑が転校してきて……

つらい！痛い！でも美しい！
中学校のどこかヒリついた空気を思い出す一冊！