これまで読んだ絵本に登場する人魚は明るく暖かい海に棲んでいて、可愛らしい魚や人魚の仲間たちと楽しそうに暮らしている印象がありました。
ですがこの絵本の人魚は、北の暗く冷たいに棲んでいます。自分の姿とは程遠い、恐ろしい深海魚に囲まれて孤独を感じている人魚に従来のイメージを覆されました。
その人魚の寂しさを酒井駒子さんの絵がより一層引き立てます。

人魚が思い描く人間像とは裏腹の、自分勝手で欲深い人間の醜さに、失望しました。しかし行いには必ず相応の報いがあることを教えてくれる作品です。